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https://w.atwiki.jp/398san/pages/2084.html
その7 咲夜クエスト 第二回WSGPも無事に終了しましたね。 参加者の皆様、本当にお疲れ様でした&ありがとうございました。 今回も多くの方々に参加していただきながら、無事に日程を終える事ができたのはひとえに皆様の多大なご協力のおかげです。 実は直前まで自分の都合やテンション含めて、開催するか未知数でした。こういうのは、盛り上がらないまま進行してしまうと痛々しいので……。 ですがやはり思い切って始めて良かったと思います。ノリの良いみんなのおかげで、大会は非常な盛り上がりを見せてくれました。 その点はエキシビジョンマッチも同じくですね。 決勝戦のテンションを見て、実行するかを最終的に判断するつもりでした。 直前まで告知しなかったもう一つの理由は、エキシビジョンマッチが最終目標みたいになってはいけないという思いからです。 あくまで、一番重要なイベントは参加者同士のぶつかり合いであり、決勝戦が通過点では大会の意義がありません。 前回と同じようなイベントが用意されていると初めから分かっていると、そういった心持ちになってしまう恐れがあったのです。 言わばエキシビジョンは優勝チームのウィニング・ラン。 アニメ再現チームで出場し、見事に最後まで走り抜いてくれたチーム398ディーズに改めて拍手を送ります。 Z-ONEさん曰く、無双できるかと思ったが虚無械アインが維持できないと引きゲーすぎて危なかった。かっこ悪いまま歴史に残らなくて良かった。 とのこと。 大会から離れて。 このサイトが一般公開を終了してから36万…いや、1万4千日が経ちましたが、この場所におけるデュエル環境は少しずつ変わったり変わらなかったりしています。 OCG制限リストから脱しなければ全てのカードが使えた昔に比べ、現在は咲夜制限や独自エラッタ・ルール変更により、自分が目指すゲームバランスというものにかなり近くなったと言えます。 ただ、そこには弊害もあったと考えます。 制限やエラッタの更新によってこちらがセーフ/アウトの境界を逐一提示するが故に、自分達一人ひとりが、現在の自分の使用カード・デッキのパワーについて常に考え模索する必要が薄くなったと考えてしまう事です。 どこかで発せられた、「規制されるまでは使っていい」という言葉はこれを如実に表していると言えるでしょう。 利用者がみな顔見知りであり、「遠慮」というものを比較的しなくてもよくなってしまったというのも背景にあるかもしれません。 環境調整の代名詞である咲夜制限・エラッタですが…… 元々、VIP系ファンデッキコミュニティから派生して始まった(こういった単語を使うのも随分久しぶりのような)当サイトでは、当時の慣習というものがまだ根強く残ってたりします。 地砕きや炸裂装甲など除去カードを自重する、ロック・バーン系列を自重する、など。 ただ、こういった慣習が広まったのはもう3年、4年も前の事です。当時から比べて、カードプール・環境の変化などの要因からこれらが現在において必ずしも「使うべきでないパワーカード筆頭」であるかと言われたら首を傾げます。 例えば個人的な話をすると、地砕き3枚入れたデッキよりも強制脱出装置3枚入れたデッキの方が戦い辛いです。 しかし、この2者を比べると強制脱出装置を見た時よりも地砕きの方が1枚でも周辺がざわ・・・となる傾向にあります。 過去の慣習に立脚した「自重」はもはやほとんど形骸化しながら残っていると言っていいでしょう。 これだけ様々なカードが制限・エラッタ化される中、単純な除去カードだけは何も被害を被らず「自重」の名の下に各自の使用範囲が異なっている現状は、いびつなものであるとすら感じます。 過去の慣習、咲夜制限、個人の自重。 三者の絡んだところに環境は立っていて、例えば上記の地砕きや強制脱出装置の問題に対して今のところ管理人側から(制限・エラッタという形で)明確な答えを出す事はまだしていません。 それは昔馴染みの汎用カードに対していずれのスタンスを取るか、決めかねているのが一因です。 というのは……カード番号3080番以前と以後のカードでは明確に自分の意識作りの中で分けて考えていました。それはこのCGIが始まってから自分で実装したカードとそれ以前のカードの違いです。 これまで、実装以前のカードについては不可侵領域と自分の中で定めていた節があります。それ故、それら過去カードのエラッタについて二の足が踏まれていました。 その理由は、私の中での「恐れ」です。 過去から使われている定番カードに手が加わる事で、「遊戯王デュエルモンスターズのゲーム」としてコレジャナイ感が出始めてしまうのではないかという恐れです。 ゲームバランス調整と称して、現在使われている汎用カードがこれから次々と調整されていったらどうなるだろうか、という事ですね。 大嵐はワンキル抑制のため発動ターンにダイレクトアタックできない、死者蘇生は強力なので相手1枚ドローのデメリット、光の護封剣は再利用がキツいのでフィールドを離れる場合除外される…… サンダー・ブレイクや因果切断など、フリーチェーンの除去は対応力が高すぎるので全て禁止。手向けかブラック・コアでも使え。 どれも理に適っていると言えなくもありません。 ただ、これらを強力カードに対し次々と推し進めた結果どうなるのか? いずれどこかで、「これ遊戯王のゲームじゃなくね?」と感じるのではないかと思います。 いやとっくにそうなってるだろと思われる方もいらっしゃるでしょうが、とりあえず私の中ではまだ遊戯王+αのゲームなのです。 いつか遊戯王+αでなく、自分が全て舵取りしたゲームであると感じるようになってしまった時に、どれほどの人がそれを支持してくれるか?という事を考えるととても恐ろしいです。 なるべくそう感じてしまうゲームにはならないよう意識取りをしていきたいと思います。自分が好きなのはあくまで遊戯王+、なので。 ただ、全く同じゲーム性のものを全く同じメンバーで行う事にはいずれ無理が生じるでしょう。端的に言うと「飽き」です。これは良いとか悪いとかいうものではなく、必然の滅びです。 だから現在目指しているのは、「環境の最適化」ではなく「環境の循環」です。一つ所に留まりすぎて、濁らないようにするための。 今はその方向が、デフレに向かっているだけですね。これが使えなくなったらどうするよ?という提案をこちらから出している状態です。 場合やジャンルによっては、モーメントが逆回転して「これが使えるようになったら・こんな風にパワーアップしたらどうするよ?」という方向性に向かうものもあるでしょう。 それを成すのが咲夜制限やエラッタであるわけであり、ゲーム性をちょこちょこ変えてなるべく新しい気持ちで遊べるようにするための小細工なわけです。 そんなこんなで生きています。 循環する事で、まだしばらくは生き長らえていきたいと思います。 円環の理に導かれて……
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【性格】 冷静かつ大胆。窮地を楽しむタイプ。 身内を庇う傾向が多少あるが、あまり入れ込まず自陣営の勝ちを最優先する。 【能力】 「咲夜の世界」 どの役職でも、時間を止めて行動する為 自分の行動が他の役職の力や他のキャラの能力によって阻害される事は無い。
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元スレURL 侑「虹ヶ咲学園二年四組担任、高咲侑です!」 概要 虹ヶ咲に教師として赴任した侑 演劇部顧問になった彼女はそこで底知れぬ器をもった少女に出会い… ※しずくルート タグ ^高咲侑 ^桜坂しずく ^中須かすみ ^鐘嵐珠 ^ゆうしず 名前 コメント
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「ホロライブ」所属VTuber YouTube https //www.youtube.com/@MurasakiShion/videos ツイッターアカウント https //twitter.com/murasakishionch 動画 【original】メイジ・オブ・ヴァイオレット【ホロライブ/紫咲シオン】 KING/Covered by紫咲シオン【歌ってみた】 ヴァンパイア/Covered by紫咲シオン【歌ってみた】 踊/Covered by紫咲シオン【歌ってみた】 転生林檎/Covered by紫咲シオン【歌ってみた】
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十六夜咲夜は瀟洒にして従順な悪魔の狗である。 故に主の指示は絶対。何においても優先されるべき事項であらねばならない。 だから、 「咲夜。貴方は少し時間操作に頼りすぎるキライがあるわ。それでは現状からの脱却は図れない。成長なんてあるはずもない。なので当分の間使用禁止ね。いいって言うまで時間止めちゃ駄目だから」 等という無体極まりない事を言われたとしても遵守せねばならないのだ。 それ絶対今思いつきましたよね。なんて思ってても口に出さず、ただ一言、了承の意を表す。 現状からの脱却、新たなステージへの扉。結構ではないか。 お望みとあらば如何なる私にでも成りえましょう。この身は常に、髪一本から血液に至るまで貴方だけの物なのだから。 「あ、当然だけど職務上の失態にはペナルティーを課すから。とりあえずワンミスにつきスカート膝丈マイナス1cmね」 「……ハイ」 うるさい。泣いてなんかない。 「場合が場合だし否も応も言ってられないわ。不本意ではあるけど私の手が回らない分はサポートをお願い」 「期待してたわけじゃないですけど、わざわざ呼び出されて上にそこまで言われたんじゃ流石に凹みます」 能力を制限しての職務遂行に不安を感じた私は、まず補佐をつける事を考えた。 美鈴は(仮にも)門番なので持ち場を離れさせるわけにはいかないし、小悪魔も立場上、パチュリー様の傍を離れるわけにはいかないだろう。妖精メイドでは、とてもではないが任が務まるとは思えない。 そこで白羽の矢が立ったのは、先日湖畔で行き倒れていた所をお嬢様の気まぐれで拾われた○○という男。 捨ててきなさいと主張する私やパチュリー様に対してお嬢様はしたり顔で「これも運命よ」等とのたまったものだが、そんなノリで近い将来紅魔館が浮浪者だらけにならないか、密かに胸を痛める日々である。 さりとて、○○も全くのゴクツブシというわけでもないようだった。 労働力の足しにでもしてくれと言う彼にとりあえず仕事を与えてみたのだが、これが存外に覚えも早くその仕事ぶりもなかなか配慮が行き届いたものだったので、これには正直驚かされた。 現に今も不満を口にしながらも呼び出しに素直に応じる辺り、職業意識も悪くない。 だというのに、ただ一つ、どうしてもこの男に素直な評価を下せない理由がある。 「しかし能力制限とはまた思い切った事を始めたもんですね」 あたかも自分が難題を仰せつかったかのように、難儀そうに言う○○。 「だからといって完成度の低い仕事をするつもりはないわ。無論手を抜くつもりもね」 「立派ですけどあまり無茶はしないで下さいよ」 そう言って今度は苦笑交じりにこちらを気遣ってくる。こういう所は素直に好感がもてる。 そこでふと、○○は何かに気付いたかのように真剣な顔で考え込み始めた。 時折こぼれる「そうか、普通の人と……」という呟きが、何やら不穏な気配を感じさせてやまない。 「あの、○○?」 放って置くべきかとも思ったが、異様な雰囲気にのまれてつい声をかけてしまう。 そしてそれはすぐに失敗だったと後悔する破目になった。 名前を呼ばれた○○は俯き加減だった顔をガバッと上げて、妙な決意を宿した眼をこちらに向けて一息にまくし立てた。 「つまり今の咲夜さんは普通の婦女子となんら変わらんわけですね!? 今なら勢いに任せて強引なイチャイチャ展開も可だと!」 「ちょっと落ち着きなさい。○○」 「大丈夫。心配はいりません。腐ってもこの○○、紳士です。普段と違う状況下で内心小動物のように震えているであろう貴方の心ごとエスコートして差し上げます」 「妄想なら自分の部屋でやってもらえるかしら」 「っていうか正直、辛抱たまりません。咲夜さん愛してr」 いい加減うんざりしてきたので、取り出したナイフで頬をペチペチ叩いてやると○○はおとなしくなった。 「さっき言ったわよね?『手を抜くつもりはない』って。部下の躾も然りよ。オワカリ?」 「・・・いえす、まむ」 「よくできました。それじゃ別命あるまで待機。以上」 「ラジャー」と力無く答えてトボトボと去っていく○○。 本当に、ああいう所さえなければ評価してあげてもいいのだけど。 「○○」 「なんすか」 「後で買い出しにいくから里まで付き合いなさい。荷物持ちよ」 俄かに○○の顔が喜色に染まっていく。 「デートですか!」 「だから荷物持ちだって……あぁ、もう如何とでも取ればいいわ」 なんにせよ、こんな事で子供みたいにはしゃぐ○○を見ていると、こう思わなくも無い。 当分はこのままでも良いかもしれない。と。 うpろだ1050 ─────────────────────────────────────────────────────────── ガシャーン けたたましい音と共に調度品がコナゴナになった。 「ああ、また……」 「咲夜さん、大丈夫ですか?」 「いえ、さすがにこれほどコナゴナになってると直すのは無理ね……」 「いや、俺が言っているのは咲夜さんの方ですが」 「私のことはいいから、ほらホウキとチリトリ持ってきて」 「はい」 言われた通りにホウキとチリトリを持ってきて粉砕された壷を二人で掃除しながら俺は咲夜さんを見ていた。 今日の彼女はどこかおかしい。さっきみたいな普段しないようなミスをしたりボーッとして話しかけても上の空だったりしている。 紅茶に間違えてトカゲの血を入れてお嬢様が噴出した時は笑いを堪えるのが大変だったが。 「本当に平気ですか?」 「……え、ごめんなさい。聞いてなかったわ。それでなに?」 「咲夜さん、やっぱり休んだほうがいいですよ」 「そうもいかないでしょ、私が休んだら誰が紅魔館の仕事を行うの?」 「それはそうですが……」 「ムダ口はそれ位にして、これを捨ててきてちょうだい」 渡されたゴミを持ってゴミ捨て場に向かおうとしたら、背後でパタリと何かが倒れる音がした。 慌てて振り返るとそこにはうつ伏せになっている咲夜さんがいた。 「あ、あれ? おかしいわね、なんで急に」 無理に体を起こそうとするが腕に力が入らないのか、また倒れこんでしまう。 「ほら、やっぱり無茶してたんじゃないですか」 「な、何言ってるのよ。これは転んだだけよ、すぐ立ち上がるからあなたは別の仕事をしてなさい」 そう言って三度起き上がろうとするが、その姿はまるで病人が無理をしている風にしか見えない。 「咲夜さん、失礼します」 「きゃっ!?」 彼女の背と膝の下に手を入れて抱きかかえるようにして立ち上がる。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。 「ちょ、○○! 下ろしなさい!」 「だめです。このまま部屋まで連れて行きます。で、場所は何処でしたっけ?」 じたばたと暴れていた咲夜さんだったが、逃げられないことを悟るとしゅんとして大人しくしてくれた。 「……そこを右に曲がって突き当たりの部屋が私の部屋よ」 「わかりました」 部屋のドアを開けて中に入り、ベットに咲夜さんを寝かせる。ここまでほんの少しの時間しか経ってないのに彼女は気を失っていた。 布団をかけて俺は永遠亭に足を運んだ。 「疲労ね。しかも疲れがとれてない状態でかなり無茶をしているわね。今日は一日休養を取らせなさい」 「わかった。ありがとう永琳」 永琳を見送ったあと部屋に入ると咲夜さんはベットから起き上がろうとしていたので慌ててベットに寝かす。 「と、とめないでちょうだい、まだ仕事が残ってるんだから……」 「駄目ですってば。今日一日はゆっくりしていなくちゃいけないって言われたばかりでしょう?」 「で、でも掃除が……」 「それは小悪魔とメイド妖精がやってくれてます」 「せ、洗濯もまだ……」 「美鈴が今干してます」 「う……それじゃあ料理にお嬢様のお世話は……」 「料理はパチュリー様が、お嬢様は自分でできることは自分でしてわからないことは明日聞くそうです。 あとお嬢様の言付けで、「咲夜にそんなに負担をかけていたなんて主失格ね。今日は一日休むこと。これは命令よ」とのことです」 「……わかったわ。で、あなたは何をするの?」 「咲夜さんの監視だそうです。放っておくと何かしら始めるだろうからそれを食い止めなさいって。実際起き上がろうとしてましたし」 「い、痛いとこ突いてくるわね……。わかった、今日は休養を取らせてもらうわ」 ようやく落ち着いて休みを取ってくれることになり、ほっと一安心だ。 が、何故か顔を赤くしてこちらをチラチラと見てくる。何だろう、何か言いたいことでもあるのだろうか? 「あ、あの○○……着替えたいのだけれど」 「あ、そ、そうですね、俺がここにいたら着替えられませんよね。じゃ外にいますので着替え終わりましたら声をかけてください」 ギクシャクとした動きで部屋の外に行き、声がかかるまで待つ。あー顔が熱い。 しばらくして、もういいわよと言われたので中に入ると部屋着に着替えた咲夜さんがベットに寝ていた。 「……こうして二人きりになるのは久しぶりね」 「そうですね、会ったとしても会話はほぼ仕事のことばかりでしたからね」 「ねぇ、何か話して」 「話っていってもこれといって面白いことはないですよ」 「それでもいいわ」 「ええそれじゃあこの間神社であったことなんですけど……」 ――少女、青年談笑中―― 「で、結局魔理沙が一番被害を被ったわけで」 「まあ、自業自得というやつね」 と、ドアをノックする音が聞こえたので開けるとそこには茶器を持った美鈴がいた。 「お見舞いにきちゃいました。大丈夫ですか? 咲夜さん」 「あんまり良くはないわね。ところでそれは何?」 「ふふふ、これは特製の漢方茶です。これさえ飲めばたちどころに疲れなんか吹き飛びますよ!」 「……美鈴、あんまり言いたくないけどそれ高麗人参とかガラナやにんにくなんて入れてないよね?」 「失礼ですね○○さん。普通のお茶ですよ。ささ、冷めないうちに飲みましょう」 テキパキとお茶の準備をする美鈴。普段は門番としての姿しか見ていないので手際のよさに驚いた。 それは咲夜さんも同じようだった。 そして彼女の淹れてくれたお茶を飲んでみる。ふむ、甘い香りが鼻を通り抜けお腹の中からぽかぽかと暖めてくれる。すごくおいしい。 けれどもこのお茶、めちゃくちゃ眠気を誘う。なんでもない俺が眠気を耐えるのが精一杯なほどだ。 咲夜さんの様子を覗うとうつらうつらとして心ここにあらずという状態だ。 「……○○さん、どうやら効いてきたみたいですね」 「美鈴いったい何したのさ」 「このお茶元々リラックス効果が高いんですが、寝つきを良くする茶葉を多めに入れてみたんですがどうやら成功したみたいですね」 「なるほど、その薬草の力で眠らせてしまおうってことだったのか」 お茶を飲み終えると美鈴は茶器を片付けると部屋を出て行ったがドアから顔を出してこっちを見ていたので 何かまだあるのかと思っていたらニヤニヤと笑いながら俺に話しかけてきた。 「○○さ~ん、いくら咲夜さんがぼ~っとしてるからってネチョいことしちゃダメですよ~」 「ばっ、誰がそんなことするかっ!!」 「きゃ~怒られた~」 まったくいつも一言多いんだからな美鈴は。 俺はベットの側に行き、咲夜さんに話しかけた。 「咲夜さん眠そうだから、俺はこれで失礼します。何かして欲しいことありますか?」 「えっと……それじゃあ」 布団で顔を半分隠して上目遣いでこう言った。 「……お休みのキスをちょうだい」 「ああ、お休みのキスですね。わかりました……ってええっ!?」 うう、急にそんなことを言われるとは思わなかった。 だっていつもは完全で瀟洒なあの咲夜さんが今は普通の女の子になっているんだぜ!? そしてさっきから軽く目をつぶっていつでもどうぞっていわんばかりの姿だし。 しかし、ここで期待に応えなければ男じゃない! 俺はおずおずと彼女に覆いかぶさり 「い、いきます」 「ん――」 彼女と唇をそっと合わせた。 「――これでいいですか?」 「うん、元気も貰ったし明日にはいつも通りになると思うわ」 「それはよかった」 「本当なら続きもしてあげたいんだけれどこんな状態じゃあね。だから元気になるまでお預け。 そうしたらキスもその先もいっぱいいっぱいしてあげるから」 「あ、あぅぅ……」 「あら、赤くなっちゃってかわいい。あふ……それじゃおやすみなさい」 すぅ、と咲夜さんの吐息が落ち着く。眠ってしまったようだ。 俺はドアと開けると咲夜さんを振り返って最後にこう告げた。 「お疲れ様です。メイド長」 静かにドアを閉めると部屋を後にした。 うpろだ1058 ─────────────────────────────────────────────────────────── 紅魔館――――――――幻想郷に来てから身を寄せている場所だがここに来てまだ2年ほどだ。 待遇的には「傭兵」。とはいえ館内が主で外出は稀だ。 「○○。お疲れ様。悪いけどちょっと手伝ってくれる?」 十六夜咲夜。ここに来るきっかけになった人物だ。通称「咲夜さん」。 「了解。援軍が来たからには安心かと」 こういう仕事は慣れている。ここに来るまでこの傭兵の肩書きのおかげで多種多様な仕事をしてきた。 ちなみに今日の収穫は街で買った懐中時計。 「ふぅ…依頼終了と。ところでこのビー玉もどきの正体とか知らない?」 ここに来てからなぜか持っていた赤・青・緑・白・黄の「ビー玉もどき」。正直自分でもよくわからない。 「頭の中までは完璧じゃないし…図書館にでも行けばいいんじゃない?」 「あ。そっか…パチェならわかるかな」 夜が明けてから着替えて行ってみる。結構図書館には行く方だ。 ―――傭兵移動中&受講中――― ヴワル魔法図書館。幻想郷の中で本の量が一番多そうなこの館の書斎。ちゃんとノックはする。 「開いてるからどうぞ…ゲホっ…」 極端に短い相槌。パチュリー・ノーレッジ。この図書館の主で喘息持ち。見ていてハラハラする。 「珍しいモノ持ってるじゃない。興味深いから見せてくれる?取ったりしないから」 ………新手のカツアゲかこれは。流し目で見られると妙な緊張感が走る。いや…むしろ威圧感か。 見せてみると大体分かったのかジト目で話し出した。正直ジト目は怖いが結構いい話は期待できる。 「この5つの玉には霊獣が宿ってる…それぞれ強大な力を持つ霊獣がね。とりあえず座って」 霊獣なんて見たことも信じたこともなかった。淡々と話されるこの玉の能力。とりあえず座る。 「この4色…四神は今の状態で使えるけど黄色は今はダメ。下手すれば――死ぬ場合もあるから」 そんな現代で言えば核兵器やら放射能やら地雷原みたいな代物が混じってるとは思っても見なかった。 「この黄色い玉は麒麟…この子達のリーダー格…言って見れば頂点に君臨する存在」 黄色い玉はまだ無理だとしても意外に使える能力が多いことがわかっただけでも収穫だ。 「死にたくないならこれは絶対使わないこと。どんな状況でも。泣く人…いるでしょ?」 咲夜さんのことはバレてたらしい。紅魔館のブレインには及ばないか。 「守ってあげてね…あの子…ホントはすごく脆いから」 ここまで洞察力があると敬服どころか畏怖に値する。そろそろ戻るか。 ―――傭兵移動中――― 「どう?答えは出た?…何その目。この私と弾幕張ろうって目?」 「ちょっと四神の力ってのを試したくてさ。時間あれば軽くでいいから」 「アンタねぇ…後悔しても知らないからね。少し待って。用意してくるから」 場所は近くの森上空。早くも咲夜さんは本気モード。軽くヤバい。むしろ軽くない。ヘビーだ。空気的に。 「じゃあ…早めにチェックメイトにしてあげる。幻在『クロックコープス』!!」 「結構しっくり来るな…。朱雀『紅煉獄炎翔』!!」 飛んでくるナイフが炎で相殺されるが次の手が早い。相手に取って不足なしだ。 「アンタが敵じゃなくてよかったわ…ホントに。傷符『インクライブレッドソウル』!」 「まぁそれはお互いに!白虎『白刃裂風牙』!!」 ピンポイントでナイフを風で吹き飛ばして回避する。正直驚いた。さすがは霊獣。 「嘘…――――ふーん。じゃあ本気出すから。奇術『ミスディレクション』!」 「前から――後ろ!?手加減ナシか…玄武『翠林城塞砲』!!」 地面から林のような緑色の柱が立って全方位のナイフを防いだ後で左右に展開。その後砲撃。 「ここまでとはね…でもこれで最後。幻世『ザ・ワールド』――――その頑張りは認めてあげる」 「遠慮ナシだ!青龍『蒼穹逆鱗葬』!!―――――――――――――え?」 青い激流が暴走するが時を止められる。直立不動の金縛り。その隙に1つだけナイフが飛来する。 「チェックメイト。ほら。戻って傷口診るからさっさと立って」 「やっぱ敵わないか。この通り戦術的敗北だよ」 読まれていた。敢えてスペルを展開しこちらの手の内を探り最後の最後に時間を止めて一撃を見舞う。 「でも久々に苦戦したのは事実。その努力の成果は凄いって言えるから。でも麒麟は禁止。いい?」 「痛ぅ―――――…練習あるのみ…か。頑張らないとな」 それでも努力は認めてくれた。 「ジョーカーは…切り札は最後まで残しておくもの。力に頼り過ぎると必ずツケがくるの」 「それが今の状態…か。また一つ学んだよ」 紅魔館で手当てを受ける。パチェが麒麟のことを言ってくれたらしい。 それから自分に用意された休憩時間で各スペルの発動までのタイムラグを埋める。 1週間後―――――よりによって紅魔館の幹部クラスが咲夜さん以外留守の日に災厄は来た。 「アンノウン接近!妖怪の部類かと思われます!数…計り知れないです!!」 物見が叫ぶ。計り知れないなら上等だ。咲夜さんに内緒で先陣切ってアンノウンに向かう。 弾幕を張って応戦するが数が数。減る気配は皆無に等しい。スペルは一応温存しておく。 どうやら頼もしい援軍が来たらしい。というか門番どこ行った。戻ってきたら生存率めっさ低いぞ。 「○○!アンタはもう…この戦闘が終わったら一応覚悟はしておくこと――怪我したら許さないから」 「一応心配はしてくれるんだ?…了解。お手柔らかに!」 減らない。むしろ増えてきている。これがアンノウンの正体じゃない。これは『攻撃手段』――弾幕。 「ちょっとコレどこから湧いてくるの!?一向に減らないじゃない…ゴキブリ以上に性質悪いわ」 「これが敵ならとっくに消滅してる――本体を探して集中的に叩けばこれも消えるはず…!」 攻撃方法・正体・形状・特徴・弱点・そして存在全てが未知数にして未確認…正真正銘の「アンノウン」。 「攻撃が向こうに…咲夜さんに集中して…チィっ!霊獣『四神結界』!!」 相手の考えはアバウトにだが読めた。能力が高い方から潰す。シュミレーションゲームの鉄則だ。 「あ…ありがと…これに免じてさっきのはチャラにしてあげる」 助かった。とはいかないみたいだ。弾幕が止む。ボスの登場ということらしい。 「何コレ…ホントに妖怪!?やってやろうじゃない…!!」 ヒドラ。海蛇座のモデルになった9本の頭を持つ大蛇。こんな蛇が幻想入りしていたこと自体驚きだ。 「通りで弾幕が多いわけだ…早いとこ潰して終わらせる!」 とはいえ巨大さでは向こうが数段上だ。周期的にスペルを使って順調に首を落とす。 でも異変が一つ。咲夜さんが身震いしている。下手したら被弾しかねない。 ここは四神結界で防御させながら戦う。 朱雀「紅煉獄炎翔」。 白虎「白刃裂風牙」。 玄武「翠林城塞砲」。 青龍「蒼穹逆鱗葬」。 なんとか親首以外を叩き落として浄化したが少し力加減をミスったらしい。激痛が走る。 「万策尽きたってところかな…違うか。まだ手はある…よな。使ってみるか…麒麟」 単なる独り言。麒麟を使う。生死を賭けた大博打。聞こえて――ないな。 「ダメ…怪我したら許さ…ないって言っ…たでしょ…?」 目の前に気を取られすぎて後方が見えなかった。この掠れた声で思い浮かぶ状況は1つしかない。 結界がブチ破られていた――相当被弾しているはずなのにこんなバカを心配してくれる。 「下がってな…さい。すぐ…終わる…から」 無理だ。その傷で時間なんか止めたらその後無事じゃ済まない。 「関係ないね!――バカだからさ。ゴメン。フルパワーでぶっ放すから下がってた方がいいって」 持っていたナデシコの柄の袋を投げる。咲夜さんナイスキャッチ。 明日が満月。明後日は「十六夜」。いつも足引っ張ってドジ踏んで… それでも認めてくれるせめてものお礼。そのための懐中時計。 『守ってあげてね』――パチェから言われた一言。もちろんそのつもりだ。 「死んでも…知らない…。骨も…拾わない…!」 どんな顔かは声でわかる。 泣いてる顔は見たくない。だから振り向かずに。躊躇わずに。冷徹なる雷をこの手で目の前の災厄に。 「麒麟――――――『雷帝閃煌覇』――――――これで終わらせる」 雷が縦・横・斜め・正面から飛び交う。 ヤバい。意識が飛びそうだ。ここまで強大な雷は操作不可能で逆流しないのが唯一の救いだ。 まだ息絶えないか。あと少し…せめてあと一撃。あと一撃あれば確実に仕留められる。 「それじゃ…最終兵器の登場だ。ジョーカーってのは最後の最後で切るんだよ」 パチェの「賢者の石」を元にアレンジを加えた最後の「リーサルウェポン」。 特攻用に編み出したリミッター解除の最大出力。5つの神の真骨頂を融合させ覚醒させるスペル。 「何を!?それ以上やったら大怪我レベルじゃ済まない!まして麒麟を使った後に!」 最後の最後…むしろ最期にカッコつけさせてくれて感謝はしている。ここに来れてよかった。 「今はちょっと自分の限界ってヤツに挑みたいだけだから。この程度じゃ死なないって」 「この―――――――――――――――――バカ」 ターゲットは目の前のバケモノ。コイツだけは刺し違えても倒す。 「消滅させてやる――聖獣『破邪獣神結界』――まだ――神獣『五芒星滅殺陣』――デッドエンドだ」 これが限界突破の最終兵器。高威力かつ高火力の多段式波状攻撃。おまけに霊獣の加護つきときた。 ここまでは作戦通り。麒麟を呼ばないとこのスペルは使えない。だからあえて逆らってみた。 後はヒドラの浄化を見届ける。一応これで99.9%策は成った。 どうしても0・1%が欠ける策。むしろ99・9%が100%の策。 「明後日…生きてるか死んでるか…どっちかの0.1%に賭けてみるかな…」 意識が途切れる前の生命のコイントス。表か裏かで生死が分かれる。 最後の0.1%――それは自分が死んでも生きても達成される。その段階で初めて真の100%になる。 この策は敵を「ハメる」策でなく「殲滅する」策。いかなる犠牲を払っても。それが自分であっても。 咲夜さんの「誕生日」。わからないから毎年「十六夜月」の日に決めていた。今年は――無理かな。 せめて自力で渡したかったな――懐中時計。絶対泣いてるよ――。 それから何分…何時間…何日経ったのかわからないが目は覚めた。ここは…紅魔館。 「25時間…44分…35秒。――――――ホントに…ほっとけないんだから」 「持ってたんだ…懐中時計。ほら…死んでないし」 冷徹ないつもの声じゃない。泣いてるけど優しい声。 「また足引っ張っちゃったかな…痛ぇ!傷!傷開く!…でもまぁ…いっか」 抱きつかれたところが傷口だったのは言うまでもない。絶対わざとじゃないがこれはダメージがデカい。 それから約1日半。十六夜が出る日。まだ夜には早すぎるが。 「○○!!速効でケリつけて。まだ依頼はあるから覚悟することね」 ちょ…仮にだけど誕生日…今日だってこと確実に忘れてるなこれは。 それでもすれ違い様に呟いてみる。 「咲夜さん――――――誕生日―――――ーおめでと」 うpろだ1062 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「少し風邪でも引いたかな…」 紅魔館の自室でオフ時間に呟く。 いやリリーホワイトが「春ですよ~」とここまで伝えにきてくれるわけだが何しろ季節の変わり目だ。 「そろそろ戦線復帰ね。この頃調子悪そうだから仕事は多いけど軽めにシフト組んだから」 「了解…っと。やる事はさっさと片付けますか」 上司の咲夜さんが軽めにシフトを組んでくれたみたいで助かった。とはいえ仕事は多いが。各段階のメモが渡される。 「えーと…最初は庭の水やりと買い溜めした食糧を運ぶわけか」 ポケットに入れたビー玉もどき。たまにこの中から霊獣が手のひらサイズに実体化して出てくる。ちょっと可愛い。 ちょっと早めに終わらせる。これで第1段階と第2段階が同時に終わったわけだ。 「次は…え?借りてる本があるから図書館に返してくればいい?」 第3段階が私用っぽいがまぁ気にしない。箱で買った栄養ドリンクも1本出して持っていく。こういう時期に心配な人物が図書館に約1名。 「返却ならその棚に入れてくれればいいからね…差し入れありがと」 「いつも本貸してもらってるから粗品でゴメンな」 「そういえば麒麟も使えるようになったみたいじゃない?」 「お陰さまでこの通り」 …元気だな。パチェ。とりあえずまた本を借りて図書館を出る。自室に本を置いて第3段階終了。 「次が難関だな…紅茶の葉の分別。『葉脈で種類ごとに分けること』…」 第4段階で難易度一気に急上昇。これが難しいらしい。 「一応これで前半戦終了か。結局ボスクラスは最後に来るわけな」 約30分経過。ようやく半分だ。「感想は」とか聞かれたら即「長い」の一言で済むくらい地道な作業だ。 「結構な種類だったよなぁ…後半戦のメモでも貰いに行きますか」 一応は区切りがついて帰還。部屋の中でドサッと鈍い音がしたが物でも落ちたか。 「咲夜さーん?後半戦のメモもらいに――――――!?」 「カッコ悪いとこ見せたみたい…でも大丈夫」 「いやでも今倒れて…」 「大丈夫だって言ってるで…しょ」 そうだ。よく考えたら目の前にいつ倒れてもおかしくない上司がいたのに気付けない自分の洞察力のなさを呪いたい。 「大丈夫そうに見えないって!指示さえ貰えれば代わりくらいできるし部下の意見も聞かないと」 「部下にはできないことだってあるでしょ…」 よろけながら言われても正直説得力がない。だったら失敗してもできるところまで突き進むまで。 「何もしないよりマシかと思う」 「ホントにもう…優しすぎ。なら後半戦はカット。各段階ごとに終わったらここに来て。指示は○○に一任。夕食には復帰するから」 これまでにない大役。代理とはいえ咲夜さんの仕事を任されたわけだ。一人でできる事は極力こなす。 「慣れない事するとさすがにキツいな…これは」 この紅魔館には咲夜さんの部下のメイド精鋭部隊が30人以上いる。だがここはある意味戦場だ。言い出した以上は退けない。 「あと少しで夕食って…時間的にヤバいか…!進んじゃいるが指揮はキツいな…」 「時間よ止まれ――――――――――」 この声と能力は…どうやら援軍が来たみたいだ。一瞬背筋が凍りそうになった。 「まだ動いちゃダメなんじゃ…」 「お陰さまで完全復活。その子にも手伝ってもらうけどいい?」 「了解!」 丁度いいところに思い通りの指示。 「そして時は動き出す――――1、2班はすぐに食事の用意!3、4班はその補佐!周期的に状況を報告!5、6班は遊撃!」 早くも本領発揮。ここまで来ると威圧感がある。 「援護は任せるからよろしく。ここの火力が低いから上げて!」 「久しぶりに出しますか!炎符『ヴァーミリオンブレイズ』!」 ミニ朱雀大活躍。スペルの有効活用法…とは言えないか。正直なところは無駄遣いかもしれない。いや確実に無駄遣いだ。 そして無事に夕食終了。咲夜さんの声に一瞬ホントにビビった。 その後は普段と同じ。個人で入浴を済ませてその日の任務は完了だ。 「あれ…ダルいのが取れてる…」 「お疲れ様。あれだけ動いて汗かいたでしょ」 「ビビったなぁ…咲夜さんか」 いつの間にいたんだ…というツッコミはナシ。 「今日はホントによく耐えてくれたわ」 「100点中75点くらい…かな?」 「今回だけ96点にしてあげる」 何とも100点に近いとはいえ微妙な…いや…ここは素直に受け取ろう。 「じゃあ増えた21点はコイツに分けとこ」 そういえばフランとお嬢様がそろそろ起きてくる頃だ。 「「夜更かし決定!?」」 声がシンクロした。どこぞの紫色の暴走メカもビックリのタイミングで。目の前にはお嬢様が。 「あら…休まないの?2人して珍しい」 「休む暇があるなら借りの清算が先なので」 「たまには徹夜もいいかと思ってるんすよ」 言い方は違ってもほぼ内容的には同じだ。ここで前方から猛スピードで突っ込んでくる人物が。鳩尾に鉄拳がめり込む。二重の極みかこれは。 「あー!!○○ー!咲夜ぁー!今日はフランと遊べそう?」 「痛ぇ…今はフルじゃないから弾幕は無理な?余裕がある時には一戦頼む。ゴメンな?」 「ちぇー」 いやでも正直なところ弾幕はカンベンしてくれと言いたくなる。まぁそれでもフランは無邪気な分許せるが。 「じゃあ…チェスやろ!チェス!」 「地下室にあったっけか?確かなかったような…」 「フラン。私の部屋のチェスを貸すから心配しないで。壊さないこと。いい?あと紅茶が飲みたいわ」 「お嬢様。用意ならここに」 とまぁお嬢様の部屋でお茶会決定。さすがにフランを封じる策も考えているらしい。 「フラン…もう一度言うけど壊さないこと。―――いい?もし万が一壊したらその時は…分かるわね?グングニル投げるから」 「ひっ―――!?」 「返事は…?」 「はい…」 お嬢様すげぇ。すーげーぇ!何だいそのボムは!?フランが涙目に。心の中で思った。「フランを止められるのはこの人しかいない」と。 「じゃフランと一回やって!いいでしょ?」 「久しぶりだな…チェス。頑張ってみるかな」 そんなこんなで30分後。 「ほい。チェックメイト」 「えー!?○○つーよーいー!!手加減してくれなきゃこの部屋ブッ壊すかんねー!!」 ここでまさかの衝撃発言。それは言っちゃダメだ。そして逃げちゃダメだ。その奥から冷たいお嬢様の声が。これはキレてるぞ…!? 「フラン…?今何て言ったかもう一回言ってみなさい」 「え――――?」 「ゆっくりと一字一句滞りなく私に聞こえるようにハッキリとね。グングニル投げられたくないでしょ」 「うん…。でもフランは…まだ…何も…」 「嘘吐きは――――弾幕の始まりよ。グングニルの破壊力はフランが一番よく知ってるはず…私の能力もね」 「ふぇぇぇ…」 「ただの冗談。真っ直ぐなのもいいけどもっと周りを見なさい。私の部屋を残骸にする気?」 いやそこは弾幕じゃなくて泥棒だろ。しかも冗談とは言っているが声がマジだ。 「マズいわ…この部屋より先に私達が残骸になる…○○…逃げる用意はいい?頭の中で3回数えたら一気に壁際に下がるから。できる?」 「勿論…感覚はまだあるみたいで」 ((1…2…3!!)) 一応咲夜さんと壁際に退避。一方フランは半ベソ状態だ。 「ごめん゛…なざい゛…」 「気にしないの。悔しいのは分かるけどその気持ちをぶつける相手が違うでしょ…?」 あー。泣かせたー。でも優しいところは初めて見た。気持ちよか先にグングニルをぶつける相手がまず違うだろと自虐的ながらも心の中でツッコんでおく。 「咲夜さん…いつもこんなん?」 「そ。喧嘩しない分まだマシよ…本気で喧嘩した日には阿鼻叫喚の地獄絵図なんだから。生きた心地しないもの」 咲夜さんの苦労が分かった気がする。ここまで言わせるんだから相当ヤバいと思われる。 「○○…フランの仇を取らせてもらおうかしらね?」 「…ハイ?これ何て死亡フラグ?」 「行ってきなさい。骨は拾ってあげるから」 「え!?ちょ…咲夜さん!?――――チェスで特攻…か」 チェスでこんな威圧感を感じたのは生まれてこの方初めてだ。 かれこれ20分後。 「チェックメイト。フラン…仇は討ったからね」 「お嬢様…ちょっとは手加減を…」 「絶 対 ヤ ダ」 大人気ないことこの上ない。仮にも相当年上だろ。…とは言えない。言った時点で人生がゲームオーバーだ。ここで意外な来客が。 「随分とまぁ…派手に騒いでるじゃない…寝れやしないわ。ねぇ?レミィ?ここで提案があるんだけど」 「提案って…パチェのは理不尽な条件が多いけど聞くだけ聞くわ」 「ベリーインレイクかプリンセスウンディネならどっちがいい?制限時間は2分。答えが出ない場合は両方ぶっ放すわ」 「パチェ…それ私に喧嘩売ってるの?水は吸血鬼の天敵だってのに」 ちょ…パチェ!?その一言でここが阿鼻叫喚の地獄絵図三つ巴バージョンになりかねないのに何てことを…!! 「嫌なら混ぜて。それが条件」 「最初からそう言えばいいのに…」 うーわー…パチェがドス黒い。お嬢様の表情が引きつってる。ある意味で紅魔館最強かもしれない。 「ふーん…チェスね…咲夜。一戦だけ相手お願いできる?」 「――――へ!?私…ですか!?」 ドサクサに紛れてマヌケな声が聞こえた気がするが気にしない気にしない。 「それと時間巻き戻したりしたら秘密を大暴露するからよろしくね」 「秘密って何ですか!?」 どこまで黒いんだよ今日のパチェは…。そして30分後。 「はい。チェックメイト」 「秘密の件は…」 「最初から秘密なんて知らないけど?でもその顔は…ねぇ?」 「何もないですっ!」 ここでも静かな戦闘が終わったらしい。何だこの紫孔明は。咲夜さんが押されてる。 「この本…結構面白いの。歴史が元ネタでね」 「はぁ…」 そしてさらに意外すぎる人物が。例えれば集合写真の端っこに欠席者で写っている感じだ。 「寒ぅ~…声くらいかけてくれても…」 中g…違う。危ない危ない。美鈴がここに来るのが意外だ。 「「「「「あ。忘れてた」」」」」 「うぅ…酷い…」 そこに魔の手が。フランの目が輝いてるということは… 「あぁー!美鈴!外行って遊ぼ!外!ねーぇー!外行かなきゃ地下室で弾幕やーりーたーいー!」 「はぁ…って…そんな「泣くからね」みたいな目はやめてください!」 やっぱりな。そして美鈴はフランに引きずられて戦場に。敬礼。 「ちょ…助け…お嬢様ー!咲夜さーん!パチュリー様ー!○○ー!まだ逝きたくないですよぉー!!」 「普段の失態を返上するチャンスと思うことね。勝てたらチャラにしてあげる」 「少しフランと遊んであげて。全力出してもいいから」 「門番なんだし…図書館の本の整理より退屈しないと思うけど」 うわ酷ぇ。ここで否定的な意見出したらグングニルと殺人ドールと賢者の石が炸裂するかもしれない。 ――外―― 「遊んでくれてもいーじゃんケチー!禁忌『レーヴァテイン』!!」 「悲しいけどこれ…弾幕なのよね…」 「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「嫌……アッ――――!!!!」 ――中―― 「ちょ…咲夜さん…今すげぇ悲鳴聞こえたんだけど大丈夫かね…」 「美鈴はあれでも妖怪らしいからあの程度じゃ死なないでしょ。後で包帯とか持ってくけど」 サラッと惨いことを…でもこれだけ言わせるんだ。それだけ強いんだと思う。 「ただいまー!ふぁ~…ぁ…眠い…ちょっと寝てくるね」 「この紅美鈴…帰還…もとい生還…しまし…た…」 「そろそろ図書館開けなきゃいけないから私はこれで退散するわ」 「朝食まで私も少し仮眠取るわ」 お疲れ様。美鈴すげぇ。レーヴァテインに耐えてる。ボロボロだが。 そして個人でバラバラに散開してお茶会終了。 午前6時。もう明るい。 「では朝食の用意をしますので。○○。手伝って。美鈴は任務に戻ること」 「「り…了解!」」 ナイスフォロー。あのお嬢様の威圧感はもう物理的な領域だ。指先一つでダウンどころの騒ぎじゃないぞアレは。ニュータイプか? 「助かった…」 「私より先に死なれちゃ困るもの…別に…心配だからじゃないからね。アンタも十分悪運強いんだから」 悟った。ツンデレ属性潜伏中だな。 「今日は昨日の後半戦も含めるからよろしくね」 「え゛…!?」 「さっき『もう少しで上司の秘密を握れるぜ』みたいな顔したからその罰よ」 「そんな理不尽な…」 「アンタ文句あるわけ!?あるなら操りドールと殺人ドールの2択から末路を選ぶことね。上司に殉じられるなら本望でしょ?」 「皆無です!」 「ならよし」 今日はホントにくたばる可能性が大きいな。 まぁ…賑やかだし飽きないからそれもいいか。 うpろだ1126 ─────────────────────────────────────────────────────────── 暖かな風が桜の花弁を舞わせる頃になった。 春が、幻想郷にやってきていたのだ。 そんなある日、博麗神社では宴会が開かれていた。 目的は言うまでも無く、夜桜。 夜桜の宴。 人妖が集う、美しく華やかな宴―― そして賑やかな宴ならば、それに裏方がいるのもまた道理。 ○○は酒の肴の追加を作りながら、新しい皿や椀を準備していた。 「ふう、こんなものかな」 勝手知ったる――とまでは行かないが、宴会の度にその腕を振るっているので、博麗神社の台所はよくわかっている。 それに、今は紅魔館で執事染みたことをやっているが、そうなるまでの少しの間、ここで世話になっていたこともあった。 出来上がった料理を皿に適当に盛ったところで、戸口の方から彼に声が掛かる。 「お疲れさま、追加は出来た?」 「ええ、咲夜さんもお疲れさまです。はい、こちらが」 声の主は咲夜だった。片付けの分なのか、皿と空き瓶を幾つか抱えている。すぐに重そうなそれを受け取って、代わりに料理を渡した。 「宴も酣ですから、逆に軽めのものに」 「そうね、その方が良いかも。だいぶ出来上がってる面子も多いしね」 「咲夜さんは?」 「今回はあまり飲んでないから。貴方も?」 「料理がすぐに無くなってますからね。少し飲んではこちらに、と言ったところですか」 皿を水に漬けながら、○○は少し迷った後、こう提案した。 「もし宜しければ、それを置いてきた後で一献どうですか?」 「え?」 「いや、まあ、その、ゆっくり桜を楽しむ余裕もそろそろ出来そうですし、どうせなら、と」 少し慌てたように言葉を探す○○を見て、咲夜は軽く微笑する。 「いいわよ。ただ、お嬢様方の様子を見てからになるけれど」 「あ、はい、大丈夫です。では、何か肴を用意してますね」 「ええ」 去っていく咲夜を見送った後、○○は簡単なつまみを用意することにした。 小半刻の後、咲夜と○○は二人して宴の片隅に腰を下ろしていた。 「いや、絶景ですねえ」 「そうね、毎年のことだけど、やっぱり綺麗だと思うわ……外は、違うのかしら?」 「今、これほどの桜を、こんなに落ち着いて見れる場所がどれほどあるか――僕は、知らないです」 そう言って、彼は徳利を掲げ、咲夜の手にしている小さな猪口にそっと注いだ。 「メイドに御猪口というのも、妙な組み合わせですね」 「これしかなかったものね。はい、貴方にも」 「ありがとうございます」 ○○の手にある盃に、咲夜が酒を注ぐ。軽く挙げて、乾杯の代わりにした。 一口喉に流し込んで、○○は空を仰いで大きく息をついた。満天の星に十六夜月、それに映える夜桜。 「しかし良い気分です。良い月夜に夜桜、旨い酒に……それに何より、こうして咲夜さんと一緒に居られて、本当に言うこと無いですね」 「あら、もう酔ったのかしら?」 「まだ素面のつもりですけれど」 その返答にくすくすと微笑って、咲夜も猪口を傾けた。 「貴方はあまり強くないんだから、程ほどにね。あの酔っ払い達の様子を見るに、後片付けが回ってくるのは必至よ?」 「大丈夫ですって」 そう言いつつ手酌をしようとした○○の手を遮って、咲夜が盃に注ぎ足す。 「いいけれどね。酔っ払った貴方は面白いし」 「……それ言われると逆に酔えなくなりますが。何してるんですか僕」 「さあ、何でしょうね?」 楽しそうに、咲夜ははぐらかした。やれやれと思うが、どうやらこのささやかな二人飲みを気に入ってはくれているようで、ほっと胸を撫で下ろす。 「何かやらかし始めたら止めてくださいよ?」 「大丈夫、いざとなったらナイフで止めてあげるから」 「それ止まるのは息の根ですよね?」 じゃれあうような会話をしながら、○○もまた咲夜に酒を勧める。 「咲夜さん、どうぞ」 「ええ、ありがとう」 喧騒を少し離れた、どこか静かな夜桜見。 「心地良い、わね」 「ええ」 何気ない会話を交わしてると、不意に、咲夜が肩に寄り添ってきた。 「さ、咲夜さん?」 「少し、こうしていてもいいかしら」 「……ええ、いくらでも。他ならぬ貴女のお願いですし」 「ふふ、ありがとう」 喧騒が遠い。静かに何も言わず、二人で桜を見上げる。 天には月、地には桜、手には盃、傍らには愛し人。 君、何を以って愉しまざるや。 静かな時間も、杯を重ねるうちに少し変化が起こる。 「あれ……」 「飲みすぎね」 ぐら、と○○の身体が揺れる。瞳に酒精が混じっていた。 「やっぱり、弱いわね」 「申し訳ない……」 「いいわよ、ほら」 咲夜は微笑うと、膝の上に○○の頭を乗せた。 「これで落ち着くかしら?」 「ありがとう……」 うとうとし始めた○○の頭を撫でてやると、すぐに寝息を立て始めた。 この青年はある程度酔うと、前後不覚になるよりも先に寝入ってしまう。 年上の癖に、寝るとあどけない少年のようで、何となく微笑ましくて。 「貴方のこんな姿なんて、こういう時でもないと見れないものね」 眠る彼に向かって、優しい言葉をかける。 宴席の喧騒も、少しずつ小さくなってきた。酔いつぶれた者、まだ静かに呑んでいる者、様々なのだろう。 直に宴も終わる。そうすれば、また彼女達の仕事も出てくるだろう。 だからせめてそれまでは、穏やかに眠る愛しい人と夜桜を、独り占めにしてしまおう。 舞い散る夜桜を眺めながら、咲夜は心の中だけでそう呟いた。 うpろだ1086 ─────────────────────────────────────────────────────────── 「咲夜さん」 紅魔館の長い廊下、その窓を磨くのも私の仕事だ 少しとおくから、呼ばれた 「あ、○○さん・・・どうしました?」 彼は日光に当たらないように廊下の曲がり角から顔だけ出して、私を呼んでいた 「いえ、救ちゃんから言伝を頼まれまして」 窓を磨いていた手を止め、彼の元まで歩いていった そして廊下の影までいくと、彼は申し訳なさそうに、頭を下げた 「スイマセン、面倒な身体で」 何を今更、もうなれたことだし、仕方のないことだ 「・・・それで、あの子は何て?」 「ええと・・・包帯やらなんやらのストックがなくなってきたので確認に来てできればそのまま買いに行ってください、だそうです」 「ああ、そろそろだと思ってもう注文しておいたわ」 そろそろかと思い注文だけはしていたのだが、実に丁度良いタイミングだった 「流石ですねメイド長」 「まぁ、ね・・・もう慣れたわ」 自分を最強だと疑わず、自らを超える力がないと、決め付けていた ここに来るまでは 生き死にを超越する、運命を操る、万物境界をいじる 驚きと絶望の連続、そして それにすら慣れて、この世界で、生きている自分がいる 「咲夜さん?」 「・・・なんでもないわ」 目の前の彼もだ どうやって吸血鬼に成ったかは知らないが、なんとも吸血鬼らしくない、頼りない、弱い でも、彼のような存在は、私にとって・・・何かとても新鮮だった 「さーくやさーん」 「・・・ねぇ○○さん、この後時間いいかしら?」 「?別に構いませんが・・・」 「一度貴方とはじっくり話して見たいと思ってたんだけどね」 なかなか時間が無くてね、と彼女は笑った 女性の部屋に入るのはすごく、緊張する しかし部屋に招かれるとは思ってなかった 「ほら、貴方も飲んだら?」 咲夜さん、真っ昼間から強そうな酒飲んでますね(棒読み 「だいたい貴方ねぇ、妹様以外の吸血鬼がここに居られるって事がどういうことかわかってる?」 とっくに酔ってるのか、いつもより饒舌な気がした 「歯牙にもかけないということ・・・ですか?」 「そう、その通りよ」 そして興味半分おふざけ半分で、俺を雇っている 彼女の興味の対象は、俺がいかにして、成ったか 「ほら、飲みなさい」 奨められるがままに酒を飲まされた 喉が焼ける、そう思ったとき、グラスを彼女と共有している事に気がついた 唇に変な感触、口紅?いやリップクリームか・・・へ? 「あら、顔が真っ赤よ?もう酔ったの?」 うぁ、メイド長の顔が、近くに 丸いテーブルに手を着いて、俺のほうに身を乗り出して 手の着きどころが悪かったのか、テーブルが古かったのか 俺のほうにつんのめる様に、倒れこんできた ひっくり返るテーブル、滑っていくボトル 転がるグラス、酒を飲んで鈍くなったのか、彼女の力が発動する気配が無い やけに速い頭の回転と、ゆっくり流れる周りの光景 ボトルを掴んで、グラスは、届かない 何より、こっちに飛び込んでくる咲夜さんを がこっ、どすん、パリーン 「・・・」 「・・・なんとか、なるもんだ」 放心したように、と言うかそのものか、ぽーっとしている咲夜さん 俺は椅子に座ったまま、咲夜さんを身体で受け止めて、左手でボトルを持ったこの状況 固まって動けない 「あ・・・○○・・・あ、ありがと」 「い、いえ・・・怪我は無いですか?」 頼りないと思っていた彼の身体は、大きくて 包み込まれるような感覚、ドキドキと早い鼓動 吊橋効果と言う奴か、危ない状況と、異性との接触が重なって、でもこれは 「・・・咲夜さん?もしかして立てませんか?」 「え?・・・ぁうっ!?」 自分が今彼に抱きついて、ぽーっとしている状況をやっと理解し、驚いて、飛びのいた 「さ、咲夜さん?大丈夫なんですか?」 ちがう、このドキドキは、火照った身体は、そんな感情じゃ無い 私が、そんなありえない、こんな拍子に、彼に対して、そんな気持ちを 「○、○・・・」 「さ、咲夜さん?」 心配そうに見つめる彼の目が、止めだった 「ご、ごめんなさいっっ!!」 脱兎の如く部屋を飛び出た 彼の驚いたような声と、引き止める台詞 それを聞こえなかった振りをして、逃げた 初めて感じた、感情に戸惑い、竦んでしまった 彼が追ってこないようにと、日当たりのいい中庭ににげこんだ 「なんなのよ、これは」 これじゃあまるで、物語の中の少女のようだ、と 自分には一切関係ない、そう思っていたのに 「○、○さん」 彼の顔を思い出しただけで、顔がかぁっと熱くなった 数分、数十分前まで、大して意識していなかった相手を たった一度の接触で、こんなことになるなんて いや、彼がここに来た時から、意識はしていた 唯一の男手、出来損ない そうか、意識はしていたんだ それの方向性と、見る位置が変わった 嗚呼、なんだか面倒なことになってしまった よりによって同じ職場、顔を合わせないわけにも行かないのだ どうにか明日までには、この惚けた頭が、冷める事を祈るしかないようだ うpろだ1123 ─────────────────────────────────────────────────────────── ペットのヤドカリを観察する時、俺は床にへばりついて横から観察する。そんな 観察をしている時、部屋に咲夜さんが入ってきた。 「ん?何してるの○○?」 「ああ。咲夜さん。ヤドカリの観察ですよ。」 むぅ。この角度からスカートの下はおろか顔さえ見えんな。とりあえず起きあが る。 「そう。面白い?」 「ええまあ。俺のペットなんで。」 「ふーん。じゃ、私も観察させて欲しいわね。」 「どうぞどうぞ」 断る理由は無いだろうし。ヤドカリを踏まないように俺は後ろに退いた。 「んじゃ、お邪魔するわね。」 さっきの俺みたいに床にへばりついて横から観察する咲夜さん。なぜだか微笑ま しい。咲夜さんも結構楽しいらしく。ヤドカリを弱くツンツンしながら笑顔を見せ ていた。 「ん?」 待てよ。落ち着け○○。咲夜さんは、今床にへばりついている。そして咲夜さん はミニスカだ。つまり、これは視線を下に落としたら見える物がある。そうか。こ れは俺が無意識のうちに立てた計画だったのだ!!!1!! 「フフフ。計画通り・・・」 「?」 ようし。ならばその色が何色か見せて頂こうじゃあありませんか。どれどれー。 お? 「白か・・・」 「?!」 しまった。つい口に出してしまった。ヤバィ。これはヤバィ。 「○○・・・」 「いや、これはですね。あの」 何というか。その赤面しつつすぐに起き上がろうとしてずっこけそうになる姿た まりません。はい。 ん?俺何考えてるんだ?咲夜さんは鬼の様な形相をしているじゃないか。さっさ と言い訳を考えて素数を数えなければ・・・1、2、3、5、7、⑨・・・あれ? だが咲夜さんはその鬼の様な形相を解いてため息を吐いた。 「・・・。まあいいわ。○○なら。どうせ見られるの覚悟でやった訳だし。」 「へ?」 ん?「○○なら」?。ん。これはまさかの咲夜さんフラグktkr? 俺は脳内を整理しながら警戒を解く。咲夜さんはにっこりと笑っていた。 そして、 ・・・その次の言葉を俺は理解する時間さえ与えられなかった。 「殺人ドール一発だけで許してあげる。」 にっこりとした笑みが不敵な笑みへと変貌を遂げる。そして俺の周りに発生する 無数の青や赤の柄のナイフ達。 外の世界のお母さん。お父さん。僕はもうオシマイみたいです。 アッー! うpろだ1157 ───────────────────────────────────────────────────────────
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読み ちょうさきちゅう 正式名称 別名 和了り飜 5飜(副露) 牌例 解説 大明槓の直後の暗槓または加槓の後、さらに暗槓または加槓して嶺上開花で和了ると成立。 通常大明槓の責任払いとなる。 成分分析 超咲厨の70%は情報で出来ています。超咲厨の18%は根性で出来ています。超咲厨の8%は利益で出来ています。超咲厨の4%は鍛錬で出来ています。 下位役 咲厨 上位役 複合の制限 三槓子とは上位役のため複合しない。嶺上開花とは必ず複合するため実質6飜役。 採用状況 皆無。
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かがみ「ようやく涼しくなってきたわね」 つかさ「ちょっと今年は暑かったね」 かがみ「でもちょっと油断すると風邪ひくのよね、こなたもちょっと前まで風邪 ひいてたんだから気をつけなさいよ」 こなた「だいじょーぶだよ、いい抱き枕見つけたし」 シン「ってなぁ、お前。・・・まぁ最近窓あけっぱにしててもお互いの体温でいい感じ にぬくくなってきたな」 かがみ「ちょっと待て、お前ら。」 前 戻る 次
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春咲大学(University of Harusaki)は春咲市中央区にある国立大学。 学部一覧 教養学部 教育学部 経済学部 理学部 工学部 キャンパス 春咲 最寄り駅 雨川高速鉄道春咲本線 春咲大学駅
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咲夜1 1スレ目 38 「咲夜さん!オレを第二のメイド長にしてください!」 1スレ目 179 咲夜さんに 「あなたの微乳は最高です!!」 って言って告白 命の保障はできないけど( A`) 1スレ目 199-202 「失礼します」 そう言って俺は目の前の重厚な扉を開けた。 扉の向こうは真紅の部屋。 中央に置かれた豪奢な椅子の肘掛に頬杖をつき、薮睨みの視線で僕を縫い止めているのがこの館の、そして俺達使用人の主であるスカーレット御嬢様だ。 白磁よりも白い肌と、紅玉よりも紅い瞳。 すらりとした切れ長の眉は意志の強さを如実に表わしている。 眉を通り、整った目鼻立ちの下にある柔らかそうな唇から覗くのは、明らかに人外の種である証の牙。 外見の幼さからは想像もつかない強烈な威圧感と、魔性の者のみが持ち得る傾国の美貌。 俺如き脆弱な人間風情には、濫りに近付く事さえ許されない――――俺がそんな錯覚を覚えるのに、十二分にしてお釣りが来る程の魅力を、スカーレット御嬢様は備えていた。 「何をしているの。さっさと入りなさい」 不機嫌さを隠そうともしない声で、萎縮してしまった僕を呼びつける御嬢様。 視認出切るほどの不機嫌オーラを纏う御嬢様に近付くのは、はっきり言って泣きたくなるくらい怖い。 俺は、使用人魂で恐怖をねじ伏せ歩を進めた。 それと同時に、僕は何故御嬢様の御部屋に呼ばれたのか考えていた。 俺の仕事は基本的に雑用や外回りの警備ばかりで、御嬢様の身の回りのお世話に直接関わるような機会は無い。 仕事では大きな失敗もしていないし、呼びつけられる様な原因が思いつかない。 しかし、それでも俺は外勤組の中では格段に御嬢様と出会う人間らしい。 一日に三度は廊下で擦れ違ったり視線が合ったりすると仲間内で話したら、皆一様に驚いていた。 曰く、外勤は一週間に一度御嬢様をお目にかかれたら上出来、なのだそうだ。 もしかしたら、その辺りが今回呼ばれた原因なのかもしれない。 余りにも顔を合わせる回数が多いから、サボってるんじゃないかと思われてたりして。 内心で首を捻る俺に、御嬢様は言い放った。 「単刀直入に聞くわ。貴方、咲夜に何をしたの」 心臓が跳ね上がった。口から飛び出たかと思った。 十六夜咲夜さん。 ここ紅魔館の使用人と侍女の頂点に立ち、人知を超越した能力を持つ、文字通り完全で瀟洒なメイド長。 御嬢様が紅魔館の象徴であれば、咲夜さんは紅魔館の中枢と言ってもいい。 「……い、いえ。特にこれといって何かをしたという記憶はありませんが」 俺の短い人生の中でも最大の集中力と精神力を振り絞り、可能な限りの平静を装って俺は答えた。 誰よりも御嬢様に忠節を誓う咲夜さんだけど、まさか咲夜さんてばあんな事まで御嬢様に言うのか。 俺は一週間前の出来事を思い出していた。 今、俺が咲夜さんと聞いて思い出すのはそれしかない。 一週間前――――咲夜さんに告白して、思いっきりフラれた事を。 勿論、OKなんてもらえるとは思っていなかった。 ただ、咲夜さんに自分の想いを知ってもらえればと、それだけが望みの告白だった。 この気持ちは、好きというより、むしろ憧れに近いものだったのだろう。崇敬と言い換えてもいいかもしれない、そんな一方通行の想いだった。 それでも返答が『そう……それじゃ』だけでくるりと踵を返して去ってしまったのは流石に多少傷付きもしたけれど。 ダメでもせめてもう少しリアクションが欲しかった。 高望みだとか無謀だとか言いつつも撃沈した俺に同僚達が奢ってくれた酒は少ししょっぱい味がした。 兎に角、あれ以来咲夜さんとは全く顔を合わせていない。 むしろ避けられているような風潮さえある。本当にちらりとも姿を見ないのだ。 現に、今だって普段は御嬢様の御付である筈の咲夜さんなのに、どこにも姿が見当たらない。 気が滅入りそうになるが、これはどう考えても嫌われてしまったと見るのが妥当なんだろう。 …………やばい、また涙が出そうになってきた。耐えろ俺。 だけど、よくよく考えてみると何もしていないというのは間違いじゃないのだ。 咲夜さんからしてみれば、俺はどうでもいい人間なのだから。自分で言うのも悲しいが、告白なんてされようが関係ないのだし。 そんな俺の発言に、しかし御嬢様は苛立たしそうに席から立ち上がると目にも止まらぬ速さで俺の眼前へと移動し、 「てぃ」 「ぅぁ痛゛ぁっ!!?」 デコピンを頂戴してしまった。 あまりの痛さに頭が割れたかと思った。 「お゛お゛お゛お゛お゛……」 そのまま御嬢様の前である事も忘れもんどり打って転げまわる俺。 鼻息を荒げ腕を組みながら御嬢様が言う。 「この私に嘘とはいい度胸ね。貴方が咲夜に何かけしかけたのはお見通しなのよ!」 「ええっ!?」 「私の能力を知らないの? いいわ、特別に貴方にも見えるようにしてあげる」 ぱちん、と御嬢様が指打ちをすると、俺の視界が一瞬、真っ赤に染まり―――― 気付くと、俺の腕といい首といい脚といい、身体中のありとあらゆる部分から、細長い糸が張り巡らされていた。 糸は部屋の壁をつきぬけ、思い思いの方角へと一直線に伸びている。 太さや色は様々で、緑、青、白、黄、紅、茶、黒、そして、 「……この糸だけ、やたら太っといですね。あの御嬢様、これは一体……?」 「俗に言う『運命の糸』って奴よ。貴方と周囲の人間のエニシを可視化したの」 成る程。これは確かに、運命を操る御嬢様にしか出来ない業だ。改めて御嬢様の力の一角を見せ付けられ、俺は感嘆した。 「視覚化ついでにちょっと手品を加えておいたわ。貴方、ちょっとその糸引っ張ってみなさい」 「え?はい」 俺は言われた通りに手首から出ている紅い糸、いやもう綱と言っていいようなそれを引いてみた。 部屋の窓際、紅色のカーテンの向こうに繋がっていた綱がぴんと張り、その次の瞬間。 「きゃっ!」 小さな悲鳴と共にカーテンの裏側から転げそうになって飛び出てきたのは、俺と同じく手首に綱を結わえた咲夜さんだった。 「あ……」 「う……」 何故そんな場所に隠れていたのか。 この糸の太さは何なのか。 そんな疑問を吹き飛ばして瞬時に蘇る一週間前の記憶。 赤熱化する頬が分かる。 対する咲夜さんはと言うと、一週間前と同じくあっという間に背を向けてこちらを見てもくれない。 呆然とする俺に、御嬢様が御不満ここに極まれリといった声で、とんでもない発言をしてくれた。 「この一週間、咲夜ったら酷かったんだから。掃除は手につかない、料理は失敗する、ぼーっとして私の言葉さえ聞き逃し、あまつさえこの咲夜が、咲夜がよ? まさか寝坊をするなんて思っても見なかったわ」 「おっ、御嬢様!」 その時、俺ははっきり見てしまったのだ。 反射的に振り返ってしまった咲夜さんの、あの氷のように澄んだ咲夜さんの綺麗な横顔が、真っ赤に染まってしまっているのを。 それって、つまり―――― 「咲夜さん、俺の事を嫌って避けてたんじゃなくて……」 「…………から」 「え?」 「ど、どんな顔をして貴方と会えばいいのか分からなかったから……」 この時、俺は初めて知った。 人間、理解能力の限界値を超えると意識が飛ぶって事を。 薄暗くなっていく視界の中、俺は慌てて俺の方に駆け寄る咲夜さんの姿を見たような気がした。 1スレ目 848 湖の真ん中に位置する紅魔館――そこのある一室に俺は倒れていた。 無論、誰かに倒されたと言うわけではない。ここで働いて数ヶ月、俺の身体の 一時的な限界が訪れていたというだけだ。 「あのメイド長…人を散々こき使いやがって…」 何故かここで働く羽目になっており、俺は有給やら昼寝やら休日やら そんな物が無いという、ある意味では地獄のような職場で働いている。 制服貸与と書かれていたが、それもよりにもよって始めはメイド服だったから 性質が悪い。今は執事用の服という物を着せられているが、当初はそれも埃を被っていた。 「…休日なしだからなぁ」 今日も警備やら図書整理の手伝いやら、タダ働きの割に合わない事をしないとならない。 そう、そのはずだったんだ。 「あら、今日はどうしたのかしら」 いつの間にか俺の部屋の中に、諸悪の根源が居た。 ベッドから起き上がらない俺を見て、メイド長――十六夜咲夜は不審そうな目で見ている。 「…誰かさんの忙しい予定のせいで、ちょいと身体を壊しただけですが?」 その言葉をたっぷりと皮肉をこめて返す。 「そう、それじゃあ」 起き上がって館内の警備に行きなさい、とでも言われるのかと思い言葉に耳を傾ける。 「今日は少し休んでいなさい」 ……何ですと? あの鬼のようなメイド長が休め?普通、メイド長が言う筈無いよな。 …もしかしたら夢かもしれない、いや、もしかしたらこのメイド長はニセモノか? 「何をそんなにじっと見てるのかしら?」 「…や、なんでもない」 この言う言葉に殺気を込めるやり方。間違いなく本物のメイド長だ。 「…ここで寝てなさい」 そう言って、メイド長は俺の部屋から出て行った。 「待たせたわね」 戻ってきたメイド長はいつものメイド長だった。 さっきとの唯一の違いは手にお盆と料理らしきものを持っていることくらいか。 「…で、何のつもりっすか?」 「せっかく人が厨房を借りて病人食を作ってきたんだけど、いらないのかしら?」 「………いりますよ。そりゃ」 館の中でもしかしたらこの人は最強かもしれない。 紅魔館の全てを統べるメイド長、十六夜咲夜。…なんか強そうだ。 「お嬢様にも言って許可貰ったからから、今日は休みなさい。この館のほとんど居ない男手なんだから」 「…りょーかい。で、その料理は食べられるんだろうな?」 嬉しい事は嬉しいんだが、万が一にも毒なんて盛られていたら、泣くに泣けない。 いやその前に亡くなってしまうこと確実だ、俺は妖怪じゃないんだから。 「…毒なんて盛ってないから安心しなさい」 「何で俺の考えてる事が!?」 「その間抜けな顔を見たら誰でも気付くわ」 そこまで分かりやすい顔してたのか… メイド長からそのお盆ごと受け取り、レンゲを手に取る。 「見ての通り、お粥だけどね」 「病人食なら普通だろ?」 レンゲでまだ熱々の粥をすくい、すぐさま口に運ぶ。 作法とかなんてこの際関係ない。ただ我武者羅に食べ続ける。 「どうかしら?」 「…さすがメイド長だと思うぜ。普通に美味い」 「そう、なら良かった」 心の底からホッとしたように、メイド長は安堵の息を吐く。 …その表情を、妙に可愛く見えた自分がいた。 夜になった。 いつもは夜になっても図書整理が終わらずに篭っているはずなんだが、 今日は休めといわれて、ずっと横になっている。 昼間に門番や図書館の館長やら司書やらが来て、見舞いをしてくれたから 暇は潰れたが、今は何も無い。 「暇だ…」 と言った所で何が変わるわけでもない。それにしてもいつも俺を玩具にして遊んでいる お嬢様が休みをくれた事が意外だった。メイド長が言ってくれたからか? 「入るわよ」 と言いながら既に入っているメイド長。 また粥を持ってきたらしい。飽きない味とは、ああいうものだろうな。 「…晩飯か?」 「えぇ、同じものになるけど、病人食だから仕方ないわよね」 「…ありがたく頂く」 俺がお椀を取ろうとすると、それをメイド長はお預けをするような形で持ち上げた。 その手はむなしく空を切って硬直する。 「もう少しくらい休みなさい。最初で最後の奉仕活動くらいはしてあげるから」 そう言って、レンゲで俺の代わりに粥をすくう。 「ほら、あーんして」 …そう来たか。 「…あんたは――」 「あら、恥ずかしいのかしら? 普段はもう少し素直なくせに」 「…分かったよ。 ったく、どういう神経してんだアンタは」 結局、俺の方が折れて口を開ける。素早く中にレンゲが入る。 正直言って、恥ずかしさのあまり味覚が麻痺したのか味は分からなかった。 「…あんた、いい嫁になれるぜ」 わざわざそっぽを向いて、ぶっきらぼうに言う。…無意味に恥ずかしいだけだが。 それにしても彼女――咲夜は子育てとか得意そうだ。それにあれくらい飯が美味ければ 申し分ない。 「そうね。あなたはお嫁に貰ってくれるかしら?」 「…はっ、あんたみたいな美人なら喜んで、だな」 まぁ、咲夜の事は嫌いじゃない…むしろ好きな部類に入る。 仕事に対して厳しいというか何というか、そこがネックだがそういうところも割と気に入っている。 「それじゃ、これにサインして」 と、一枚の紙を差し出した。 「…ってオイ! これ婚姻届だろうが!」 そんなものが幻想郷にもあることが驚きだ。 いや、もしかしてこういう隔離された場所だからこそあるのか? 「あんたの事は確かに好きだけどさ、もっと、こう…人を選んだらどうだ?」 「色々知っている人間を比べた上で、あなたに当たったのよ」 そりゃ嬉しい事で…。 と冗談で返せれば良かったんだが、咲夜の目は…本気だった。 結構長い時間、俺は黙っていた。今までの事を振り返りながら決断をしようとしていたのだ。 問題を先送りにするような事はしたくないし、答えは早く出すべきだから。 「…ま、あんたの事は嫌いじゃねえよ」 むしろ嫌いになんてなれるか。 「そう、なの」 「…安心しな。結婚しねえって言ってるわけじゃねえって」 「え?」 「アレだ。こう言うときは俺の方から言わせてもらった方が嬉しいんだけどな…」 まさか、先に言われるとは思ってなかったし 「あー…っと、メイド長…もとい、咲夜。あんたの事、結構好きだぜ? 俺にとっての嫌いじゃないと好きってのはイコールなんだ。だからさ、こき使われるのはヤだけど 俺は…あんたが好きだ」 「本…当?」 それだけ言い終わると、咲夜は口元を押さえて涙を流していた。 「…結婚、するか?」 「…えぇ」 俺は、彼女と共に永遠を誓う口付けをした。 1スレ目 951-953 「貴方、今まで相手した中で最低ね。試験を受けようと考えた事自体が間違いだわ」 …そうして彼は紅魔舘から暇を頂く事になった。要するにクビである。 きっかけは舘内の知らせで、『昇格試験の案内』という張り紙を見て目をとめたのが始まりだった。紅魔舘に就職し、メイド長の十六夜咲夜に一目惚れした彼は「試験監督‐十六夜咲夜」の項目に惹かれて即座に申し込んだ訳だが・・・。 結果は惨敗。いきなり戦闘力のテストをされて何も出来ずにダウン。余りの不甲斐無さにメイド長直々に解雇を言い渡される事となったのである。 里へ帰る途中、彼の中では変化が起こっていた。 自分の至らなさを恥じる心は他人への責任転嫁に。 一方的な憧れは一方的な憎しみへ。 メイド長の目に止まる事がなかった男は、里へ帰る事なくいずこかへ消えていった。 それから数年、紅魔舘に紅白や白黒以外の侵入者がいるという話が持ち上がる。 曰く、侵入者は投げナイフを得意とするらしい。 曰く、侵入者は門番に気付かれずに中へ入る事ができるらしい。 曰く、侵入者は一瞬で別の所へ移動できるらしい。 曰く、侵入者は毎月一度忍び込むらしい。 これだけの特徴を兼ね備えた人物を、紅魔舘では知らない者がいなかった。 しかしその人物はメイド長。侵入者を撃退する役目を持つ人である。 「咲夜。最近舘内に貴方のドッペルゲンガーが出没するって噂ね?」 深夜のティータイムに、レミリアが咲夜に半分からかい口調で話し掛ける。半分は真面目であることを察した咲夜は黙って頷いた。 「面白そうだけど、咲夜の問題みたいだしね。そうそう。・・・・私はもう寝るから、館の見回りをお願いね。今夜は「2人」が見回りするでしょうから、早く終わるでしょう」 そう言ってレミリアは寝室へと姿を消す。瀟洒な従者は主の意図をつかんだらしく、館内の見回りへと出かけて行った。 館内を一通り見回ったところで図書館へと向かう。しかしここにも異常はなかったため、残すは時計台のみとなった。扉を開けると柔らかな月光が降り注ぐ。 「そういえば、昨日は満月だったわね」 そう呟いた咲夜に、暗がりから声が帰ってくる。 「今夜は十六夜・・・と言うそうですね。満月の輝きには及ばないとされているが、充分に眩しく、そして美しい」 「それは月だけかしら?」 「いえいえ、どちらの十六夜も私には満月より輝いて見える」 「それは間違いね。満月より輝く月など存在しないわ」 言葉だけなら月下の語らい―――しかしその実は殺気の応酬である。 「眼鏡もかけているのですけどね。度が合わないのかな?」 「それは元から治すしかないわね。尤も、ここで倒されるから治しようがないけど」 「何、これで私には良いのですよ。治すにしてもこの後図書館でも行って調べます」 2人はどちらともなく距離をとりはじめ、ナイフを抜き合う。 「呆れるほど大した自信ね。なら――――」 「そのような瑣末な事より、今は――――」 「返り討ちにされるといいわ、黒き賊!」 「貴方を倒したいのですよ、瀟洒な従者!」 ―――――そうして、十六夜の月の下、2つの影が交差した。 3本同時投擲からの接敵、離れる時の目くらましに投げた内1本のみ相手の急所を狙う、1本だけと思わせて同じ軌道で2本目を投げる・・・ナイフの応酬は互角だった。いや、その戦いは余りに・・・・・互角すぎたのである。 「どういうこと・・・?まるで鏡に映したようにナイフが飛んでくる。お嬢様の言っていた冗談もこれなら本気にしてしまうわね・・・ならこれを使わせてもらうわ」 ――――幻世「ザ・ワールド」 世界が凍る。咲夜は今、時を止めた。紅魔舘メイド長の能力にして奥義である。 もちろん相手は微動だにしない。この世界で動けるのは咲夜を除いてはいないのだ。 「チェックメイトね、侵入者さん。中々面白い戦い方だったわ」 急所に向かって的確にナイフを投擲する。後は世界を開放すればお終いだ。自分と同じナイフ術には興味があったが、明日の予定を考えるとそれを詮索するのも手間に思えた。 男が立ち上がってくるまでは。 「・・・なぜ?急所に当たって倒れないなんて、貴方人間?」 自分の必殺パターンを崩されてか、咲夜は苛立ちを隠さずに男に問い掛ける。その様を見て男は満足そうに、不敵な笑みを浮かべて答えた。 「いいえ?どこにでもいる無様で「最低」な人間ですよ。ただ、ちょっと誤魔化すのが上手いだけです。・・・・防護魔法ってご存知ですか?狙ってくるのが確実に急所なら、そこだけを集中して防護すれば致命傷にはなりませんしね」 「・・・・ご高説感謝するわ。お代は地獄への片道切符で支払わせていただきますね」 ――――幻符「殺人ドール」 急所のみをガードしているなら無差別・乱反射のナイフに対応できる道理はない。全方位からの攻撃に、男は――― 「ありがとう。それでこそ貴方は十六夜咲夜だ」 と呟き、避ける動作も見せず。悔しそうな表情も浮かべず。ただ、微笑んで全てのナイフをその身に受けた。 「え・・・?ちょ、ちょっと!?」 余りのあっけなさに咲夜は男に近寄る。先ほどまで頭にあった明日の予定より、今はこの男の不可解さが気になって仕方がなかったからだ。 「・・・どうしました、そんな不思議な顔をなさって」 致命傷を負っていても男の態度は変わらない。その一貫した態度に腹が立ち、咲夜は男を怒鳴りつける。 「不思議な顔にもなるわよ!戦った相手にこんな事言うのも変だけど、あの攻撃は避けられたはずでしょう!?」 ヘイスト プロテクション 「ああ、さっきまでの私ならね。・・・速度増加も防護魔法も時間切れですし、そうでもしなければ貴方と戦う事すらできない。いつぞやの様に一瞬で倒されてしまう事でしょう」 「貴方は、あの時の・・!」 自分の事を思い出してくれたのか、男は嬉しそうに、しかし弱った声で話を続ける。 「ああ、今は貴方の瞳に私が映っている。私を見る事すら面倒に感じられたあの時に比べて、今はなんと幸せなのだろう。ドアを開けて私の声に反応する時など、体の震えが止まりませんでした」 複雑な表情で咲夜は男に話かける。 「馬鹿ね・・・そこまでして私に復讐したかったの?」 「・・・冗談を。私は貴方に一目惚れしてしまったのですよ。エゴですが、愛してると言ってもいい。そこまで慕う相手の瞳に映らない、まして仕える事もできないのなら、一瞬でも長く、私を意識し、見続けてもらうよう生きただけです」 「・・・・」 「憧れ、慕い続けた貴方の技を使いたかった。修行をしている時も、貴方に近づいていくようで楽しい日々でしたよ・・・最初は復讐のためだったのですけどね、『自分の技で死ぬがいい』って」 咲夜は何も答えない。自分のした事を後悔しているのか、男の行動に呆れているのか、自分でもわからないのである。 「さて、そろそろお迎えのようです・・・最後にもう一度顔を見せてくださいませんか」 咲夜が男を見直すと、不意に男は体を起こし―――咲夜に口づけをした。 「!?」 「―――――時よ止まれ、・・・貴方は美しい」 そこで男の時は止まった。 名も告げない、相手にとって1日にも満たない男の恋は報われたのだろうか? 咲夜は次の日、何事もなかったように仕事を進めている。 ただ、その日紅魔舘のメイド達は昼休みにこんな会話を交わしていた。 「侵入者が退治されたみたいですね。昨夜メイド長が夜の見回りの時に倒したそうです」 「あ、私丁度早番で起きてきた時にメイド長とすれ違いましたよ。私初めて見たんですが、倒した侵入者を抱えてました」 「・・・いつもは片付け、私たちにやらせるのに。『メイド服が汚れるでしょ?』って言ってましたしね」 「珍しい事もあるんですね・・・。綺麗好きで有名なのにどうしたんでしょう?・・・あ、そろそろ休み時間も終わりですね」 それきり、男の話題が出てくる事は無かった。ここでそんな話は日常である。侵入者をメイド長が退治した、ただそれだけの話。 ―――――――紅魔舘は今日も、概ね平和だった。
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アンリアル学園物。 もどかしい二人の恋路を見守ってあげてください。 ☆ごほーび、なぁに? 楽しい(?)放課後 ☆いたずらとキスと午後の授業 憎めないあなた ☆登校風景 にぎやかな朝の一幕 ☆膝枕とランチとチャイム のどかな昼休み ☆満員電車と寝ぼすけさん たぶんいつもと同じ朝 ☆カラオケと恋と二人のキモチ すきなんでしょ? ☆お風呂とキスと抱き枕 明日はおやすみ。楽しい週末の夜。 ☆快速通過待ち 5分ほど停車いたします